AIを利用したご依頼方法

2025.06.12

もう使わない日がないAIですが、ウェブ制作にも利用できるサービスが出てきています。プロンプトでデザインできるものや、そのまま公開までしてくれるものもあります。ただ今の段階では、誰でも思い通りにデザインできるかというと難しいと思います。

AIでのサイト制作が難しいのは、機能や指示の問題だけでなく、様々な工程が必要だからです。AIはその工程をつなぐ作業が制限されるため、最後までなかなかたどり着けません。
また、AIが作ったものをどこまで信頼してよいかわからなかったり、AIへの指示に膨大な時間がかかってしまう、ということもあります。

現状はまだ、AIをうまく利用しながら専門家の助けを借りるという方針が現実的だと思います。具体的なAIへの指示(プロンプト)も含めて、その方法についてまとめてみます。

この記事の要約:今はまだAIだけでクオリティの高いサイトを作るのは難しく、専門家のサポートが必要。ただしAIを使って企画・設計・要望を整理しておくと依頼がスムーズになりコストも抑えられる。この記事ではAIを活用して依頼準備を進める具体的な方法とプロンプト例を紹介しています。

AIを利用して依頼するという方針

まずサイトを作りたい人にとっての課題を整理してみます。

  1. 企画や販売方針:自ら対応できる
  2. サイト設計:わからない
  3. 文章やキャッチコピー:自ら考えられるが大変そう
  4. デザイン:要望はあるが方法がわからない
  5. サイトの作り方:HTMLということはわかるが書けない
  6. 公開方法:ドメインは持っているけどよくわからない
  7. 運用や修正方法:便利にしたいが方法がわからない

この中で、自ら行うことができるのは「1、企画・販売方針」、また「3、文章やキャッチコピー」です。

そしてAIに任せられそうなのは、おそらく「4、デザイン」と、「5、サイトの作り方」という工程です。ただこれらも、長く時間をかければなんとか思い通りにできるだろう、という期待があるだけで、そう簡単ではないと思います。

また「2、サイト設計」や、「6、公開方法」は、AIに聞きながら自ら進めることは可能ですが、時間もかかる割に自分だけでは見えないことが多く不安が残ります。

サイトは動きさえすれば良い、という場合は別ですが、クオリティの高いサイトを作ろうとすると、まだ全てAIに丸投げということはできません。

当面はAIを利用し、専門の業者への依頼精度を上げるという方法をおすすめします。依頼先の検討範囲が少なくなれば、場合によってはコストを抑えることも可能です。

AIを利用するコツ

ここで言うAIというのは、ChatGPTやGeminiなど「LLM(大規模言語モデル)」と呼ばれる、文章生成を得意とするAIを想定しています。

初めて利用する方や、使い方がまだよくわからない人のために、いくつか考え方やコツのようなものをまとめておきます。

前提としてこれらAIは、映画に出てくるようないわゆる人工知能とは少し違います。
膨大な文章を与えられ、「正しい文章を作る」ように訓練されたツールです。その訓練によってまるで人のように会話ができるようになりました。加えて、与えられた質の高い文章のおかげで、専門家以上の回答をしてくれます。

注意点としては、回答する内容が「嘘」という可能性があります。人が間違えたり、嘘をつくことと同じようなレベルなので、現象としては稀ですが、頭の片隅で常に疑うということも必要になります。

またこちらの質問が漠然としていると、薄く広い回答になります。伝え方次第で回答の質が大きく変わるので、下記のような点を意識してみてください。

  • 初対面の人と話すように、状況や悩みを詳しく伝える。
  • 回答に満足できなかった場合は何度でも質問する。
  • 長すぎる回答には、「要約して」と伝えます。
  • 予め質問の最後に「箇条書きで簡潔に」と伝える。

サイト制作についてAIに相談する

具体的にAIを利用して、どのように準備を進められるかを以下にまとめてみます。

企画・目的について

まずは、サイト制作に関する「企画や目的」について検討します。
「なぜサイトを作るのか」「どのような状態になったらゴールなのか」など、根本的な企画内容がわかりやすい文章になっていると、関わる人々と目標を共有でき、自分でも判断がしやすくなります。

ただし、実際にそうしたものを作るのは難しいので、AIに叩き台のようなものを作成してもらいます。できるだけ自分の考えや状況を含めて質問してみてください。

質問の例:
私はアンティーク雑貨のオンラインショップを運営しています。売上を伸ばすためにサイトをリニューアルしたいのですが、具体的で現実的な目標の設定、それをどう実現するかをまとめてください。一般的なサイトの作り方や数字の目標などは必要ありません。またその目標に向けて、サイトの運用以外に必要な施策や活動があれば教えてください。全ての項目ごとに1行に収まる箇条書きで簡潔にまとめてください。

回答の中で気に入った案についてさらに質問したり、気に入らない案は代替案を提示させたりもできます。

そして最終的にまとまったものを、ぱっと見てわかる程度のリストにしておきます。

サイト設計や運用方法

これから作るサイトにどんなページが必要なのか、更新するパーツは何か、お客様が迷わないようにする施策、などサイトの設計には多くの課題があります。これらをAIに洗い出してもらいます。

ちなみにAIは話題ごとにチャットを新しくすることもありますが、この場合は「企画・目的」のやりとりに続けた方が精度は上がると思います。以下の質問例は、それを前提にしたものです。

質問の例:
先ほどの企画意図で、アンティーク雑貨のオンラインショップをリニューアルします。利用するシステムは、「カラーミーショップ」というサービスです。このサービスは自由度が制限されている点に注意してください。その中で必要になるページ構成や、企画意図に沿った施策を考えてください。またセキュリティや更新していく運用面も考慮してください。全ての項目ごとに1行に収まる箇条書きで簡潔にまとめてください。

デザインについて

デザインのご要望については、文章よりもPinterestなどから理想のデザインを見せていただく方がわかりやすいのですが、その前にご要望を言葉で固定しておくと、その後の判断がしやすくなると思います。ここまでとは異なりますが、「はじめにAIに質問してもらう」という方法も便利です。

質問の例:
ウェブデザインをデザイナーへ依頼するためにどのような指示が必要なのかわかりません。デザインについて必要な指示を、私に質問する形でまとめてください。それに私が答えるとそのまま指示内容になるというものです。全ての項目ごとに連番を振り、1行に収まる箇条書きで簡潔にまとめてください。

この場合、AIからの回答が「質問」なので、ご自身で回答を考えてみてください。そして考えた結果をAIにチェックしてもらいます。あるいは「あなたなら、それぞれどう回答しますか?」と質問することも可能です。

文章などのコンテンツ

サイト内の文章やキャッチコピーなどはAIの得意分野です。
決定したページ構成に従って、掲載する文章の叩き台をAIに提案してもらいます。

ただし、とても重要な注意点があります。
AIが書いた文章をそのまま使用することはできません
そのまま使用すると、SEO(検索順位)に大きなペナルティを課されることがあるためです。

検討段階ではクオリティを上げるためにAIを頼るべきだと思いますが、最終的には必ず自分の言葉で手を加え、内容に問題がないかも必ずチェックしてください。

制作中のAI活用方法

AIは制作前の準備だけでなく、制作中にも利用できます。

やりとりの不明点を質問する

制作者とのやりとりで、意味がわからなかった点や専門用語があれば、AIに聞くことができます。その場合、「私はサイト制作に詳しくありませんが、これはどういう意味ですか? 簡潔に教えて」などとするとわかるまで教えてくれます。

提案内容や成果物の意見を聞く

制作の中で、例えばページ分割を提案されたり、ボタンの配置を検討するということがあります。そうした場合は、「こういう場面でこのページは分割した方がいい? メリットとデメリットを教えて」などと聞くと、一般的な意見を教えてくれます。制作中に関わる人数は限られますので、その他の一般的な視点としてAIの意見を取り入れることができます。

依頼内容のまとめ方

ここまで検討した各課題を、依頼内容としてまとめます。
ただAIの回答をそのまま貼り付けるとかなり膨大になり、依頼された方も意図を汲み取りづらくなります。
本当に必要な内容に絞り込み、箇条書きでわかりやすいものを作成してください。

依頼の際は、Googleドキュメントなどネット上のドキュメントツールにまとめると便利です。決定した内容を下記のようにまとめてみてください。各ページのテキスト原稿も同様に別途ファイルにまとめていただくと助かります。

依頼内容:

  • 企画・目的
    • 箇条書きで3〜5つほど
  • サイト設計
    • ページ構成
    • 必要な要素
    • 運用・更新について
  • デザインの要望
    • 基本的な方向性
    • Pinterestからの参考イメージ
  • その他
    • 特別な事情
    • これまでの失敗

このような形でご依頼いただければ、設計のためのやりとりや工数が大幅に削減でき、おそらくすぐに作業に着手できるようになります。その分、費用面も抑えられる可能性があります。

将来のAIについて

少し余談、というより個人的な妄想になりますが、AIは遠くない将来、各工程の精度も上がり、それら工程をつなぐ作業もできるようになると思います。指示をした後はすべて自動化され、自らの運用作業すらなくなりそうです。

ただその時が来ても、人が指示を出して、試行錯誤するという根本の部分は必要な気がします。それはちょうど今回ご案内した内容に近いものになりますが、これに慣れておくと将来の備えになるのかなと思います。


ご依頼の事前準備としてAIを利用しますとさまざまなメリットがあります。

  • 自分の考えがより整理される
  • 依頼先とのやりとりがしやすくなる
  • 結果的にゴールに近づきやすくなる
  • 場合によってはコストも抑えられる

指示と試行錯誤には時間と労力がかかりますが、ご依頼の際はAIの利用を是非ご検討ください。

ご注意:AIの利用方法に関するお問い合わせにはお答えできません。ご了承ください。

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